貿易自由化の新潮流

自由貿易拡大を阻害する動き

2000年代に入ってFTAや地域経済統合など、世界の貿易自由化が進んできました。
しかし、2016年以降、英国のEU離脱の表明や米国のトランプ新政権など、自由貿易の進みを阻害する政策も行われています。
しかし、このような内向きの政策を主張するなかでも、貿易自由化を求める声は依然として強いのが現状です。

最近のFTA状況

2016年に世界で発効されたFTAは10件。
14年連続で2桁台の発効件数を維持したものの、大型のFTAはほとんどなく、日本とモンゴル、韓国とコロンビアなど、小規模な協定にとどまりました。
大規模協定は環太平洋パートナーシップ(TPP)協定ですが、2017年に米国が離脱表明を行ったため、残る11か国が発効を目指した交渉をスタートさせました。
このほかにも大規模協定としては、日本と日EUとのEPAも大枠で合意に達しました。
また、東アジア地域包括的経済連携(RCEP)や日中韓FTAは交渉が続けられている状況です。

米国とEUの環大西洋貿易投資パートナーシップ(TTIP)も、トランプ政権の誕生やEUでの反対運動などがあり、交渉はあまり進んでません。

日EU経済連携協定に期待

2016年以降、米トランプ大統領選が米国第一主義や公正貿易を掲げているほか、フランスやドイツなどで反EUの動きや英国のEU離脱宣言など、これまでのグローバル化の流れに逆行する動きが出ています。
しかしこのような状況下においても、自由貿易を進めるための新たな動きが台頭しています。

まず、日本とEU間での経済連携協定です。
2017年7月に、日EU・EPAが大枠で合意へと達しました。
世界経済と世界貿易に置いて大きな割合を占める日本とEUが貿易の自由化を進めていく意思を示したことは、大きな影響力を及ぼすでしょう。

合意内容は、工業製品でEU側は81.7%、日本側は96.2%の関税を撤廃し、その後も関税の引き下げを行い、最終的には100%関税を撤廃するとしています。
特に日本とEUで取引の多い自動車や自動車部品、食料品などの関税が撤廃、削減される予定で、高額関税の障壁が取り払われるメリットは非常に大きいといえます。
今後は日とEUの両者で、投資紛争の解決などについての交渉を進め、可能な限り早期の発効を目指す方針です。

新興国や途上国では、域経済統合が進んでいます。
中南米のうち太平洋に面するチリとコロンビア、メキシコおよびペルーの4か国が、太平洋同盟に加入しており、現在9割以上の関税が廃止されています。
今後は2030年をめどに、100%撤廃を予定です。

また、この同盟は地域外の国々との交流も積極的に行っており、日本など50か国がオブザーバーとして登録しています。
今後は同盟を拡大させるための取り組みを行っていく方針で、南米の南部共同市場(メルコスール)との関係強化やカナダ、ニュージーランド、豪州、シンガポールとのFTA交渉を行う予定です。